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● 2008年度東京第4回講演会 : 「東アジア」国際システムは可能か―東亜共同体・東アジア共同体・六カ国協議―
日時: 2008年7月21日(月) 14:30〜17:00
場所: アカデミー文京 学習室(文京シビックセンターB1F)
講師: 古田博司氏(筑波大学教授)

【概要】
 朝鮮半島情勢に詳しい古田教授を講師に迎えて講演会。古田教授の豊富な経験と知識から、兼ねてから政治舞台で話題になっている「東アジア共同体」の可能性について言及して頂いた。
 古田教授の結論は「東アジア共同体は必要ない」。その根拠は以下の通りである。

(1) 中国、韓国、日本は文化的に似て非なるもの。儒教や仏教の受容度に違いがある。よって、文化的共通性から連帯が可能とする意見は退けられる。昔から日本でアジア主義を振りかざす人ほど、各国の文化的差異についてよく知らない。
(2) 通常、政治体制の異なる国同士が連帯すること自体が可能性として乏しい。つまり、社会主義国の中国と自由主義国の日本が共同体として手を組むなどという考え方は、国際政治学の常道から考えても外れている。
(2') 現実的な路線を考えるならば、東アジア共同体よりも海洋国家同士でより深い連携をしていく方が良い。
(3) 既に東アジア周辺は経済的な連携を強めているし、ASEAN(東南アジア諸国連合)の存在もある。これ以上は必要ない。ASEANに中国、韓国、日本の3ヶ国が加わる体制で充分である。

韓国の反日運動については以下のように言及した。

(4) 韓国内における反日運動は確実に下火に向かっている。むしろ、日本のメディアが韓国の反日運動を必死に取り上げようとしている。最近の竹島問題における韓国内の騒ぎも、日本国内で例えれば街宣車で騒ぎまくっている似非右翼と同じイメージ。
(5) 韓国は既に国民の統合を終え、ポストモダンに向かって動き出している。今の日本の若者のように、今の韓国人の視点は国家よりも個人に向いている。
(5') ポストモダンとは状況であって思想ではない。国家が辿る道筋のこと。モダンとは愛国心を旗印として、郷土愛中心だった国民が一つに統合されていくプロセスを言う。その次の段階のポストモダンとは、国民の統合が終了して興味関心が個人レベルに拡散した状況を指す。尚、中国はこれから一つの国家へ統合するプロセスを歩み始める。つまり中国の場合、愛国心はこれから強くなっていく。そして愛国心の高まりに伴い、反日運動も激化していくと予想される。

北朝鮮情勢については以下のように言及した。

(6) 北朝鮮は核開発を止めないと考えられる。寧邊の核施設を稼動停止にしても、別の場所で開発を続けるだろう。最近、北朝鮮は6ヶ国協議で手に入れた重油で国内最大規模の火力発電所を稼動させた。おそらく、その付近がその候補地ではないか。
(7) アメリカの対北朝鮮政策は緩急の使い分けである。最近になってアメリカが北朝鮮に対して譲歩する姿勢を見せたのは、北朝鮮が国際的圧力に耐えられず暴走しそうになったから。北朝鮮国内が再び落ち着いたら、アメリカは再び北朝鮮に対して圧力を加えるだろう。故に、対北朝鮮制裁解除の報道だけでアメリカが日本を見捨てたなどと勘違いしない方が良い。
戦略・情報研究会の主催者(久野潤氏)挨拶
今回の講師(古田教授)の講演風景
質疑応答風景―左側:久野潤氏、右側:古田教授